2013年5月16日木曜日

習政権が唱える「中国の夢」:現実は「悪夢」、中国人の最も関心があるのは社会問題

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サーチナニュース 2013/05/15(水) 17:56
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0515&f=national_0515_054.shtml

習政権が唱える「中国の夢」、現実は「悪夢」に直面=英国報道

 英国公共放送のBBCは中国語サイトで13日、香港紙「南華早報」の編集長を務めたこともあるジョナサン・フェンビー氏の文章を
 「中国の夢、現実は悪夢になやまされる」
との見出しで紹介した。
 習近平新政権は「国家の富強」を筆頭とする「中国の夢の実現」を唱えているが、同文章は中国人が現実に直面している社会のさまざまな問題の解決の方が重要と主張した。

  フェンビー氏は、
 「中国の新しい指導者の習近平主席は“中国の夢”を追い求めると説くが、その夢は毎日、苛酷な現実に直面する」
と指摘。
 「中国の未来について、経済や政治が判断の材料とされる場合が多いが、
 大多数の普通の中国人にとって、最も関心があるのは社会問題だ
と論じた。

  まず問題になるのは食品の安全問題で、ネズミ肉を羊肉に偽装していたり、粉ミルクに有毒成分が含まれるなどの事態が多発していると指摘。
 食品の安全問題は世界のどこでも起こりうると論じた上で、これだけ度重なると「政府の信用問題になる」、「(中国)政府は人民の利益を最優先と唱えるが、この最も基本的な(食の安全についての)保障すらできていないということになる」と指摘した。

  フェンビー氏はさらに、
 「環境汚染もますます悪化。人々は、自分が呼吸する空気にも、飲む水にも安心できなくなった」
と紹介。

  中国の政治については「民主主義ではない」と指摘した上で、
 「巨大な変化が発生している。個人の自由度が毛沢東時代よりも大きくなった。
 さらに、人々はますます、自分の声を聞き届けてほしいと求めるようになった」
との見方を示した。

  そのため、街頭における抗議活動は「年間15万件」も発生している。
 当局の統制下にあるメディアも、以前よりは抗議活動を伝えるようになった。
 インターネットではスキャンダルなどがただちに伝播していく。

  フェンビー氏は、中国の指導者が直面している困難や、多くの問題の根本的原因は、中国の制度自身にあると主張した。

  そして、環境問題の改善には長い時間がかかるとしても、「食の安全問題はすぐにでも効果が出せる」との考えを示し、習主席が説く「強国の夢」よりも、中国で力をつけつつある中産階級の身の回りの問題を解決することが、新たな政権の命運を占う鍵との見方を示した。

  中国大陸メディアは今のところ、フェンビー氏の文章やBBCの記事を取り上げていない。
 ただし、「中国の夢」を実現するためには、多くの問題が存在することを認めた上で、
 「中国の将来について悲観的になる『意識の危機』を克服することが必須」と主張する論説などは中国国内でも紹介されている。

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◆解説◆

  中国の胡錦濤前政権は、「和諧社会(調和ある社会)」や「科学的発展観」などのスローガンを打ち出した。「
 和諧社会」は格差是正や環境問題の解決といった、具体的な政策に結びついていた。
 「科学的発展観」はやや抽象的な表現だが、「人を基本とし、経済・社会・政治・文化などを調和させる持続可能な発展観」と、「和諧社会」と同様に、行きすぎた経済最優先主義からの脱却という、明確な政治理念が込められていた。

    習主席は「中国の夢」について、「中華民族の偉大な復興」、「夢の実現には国家の富強、民族の振興、人民の幸福を達成せねばならない」と説明したが、具体的な政策との関係は、まだよく分らない。





【「悪代官への怒り」】




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